多摩産材事業者インタビュー
多摩スギを芯材にした画期的な土足用フローリング
藤島林産株式会社昭和40年設立の藤島林産株式会社は、JAS認定(JPIC-FL21〈フローリング〉)を受けた秋田県のフローリング製造工場です。創業以来56年、住宅用、公共施設や商業施設向けのフローリングを製造し、全国に出荷しています。
地域の木を使ったフローリングを
SDGsの流れを受け、「地域材を使用したフローリングを」という要望が増えてきています。そんななか、当社でも、東北6県の広葉樹を使った「無垢フローリング奥州材」や、多摩産材を使った「フロアーリベルテ無垢ワイド(国産木材)」など、地域の木材を使ったフローリングの製造に力を入れています。
多摩産材を使った土足可能なフローリング
東京都でも、多摩産のスギを使用したフローリングが求められます。公共施設や商業施設などでは、靴でその上を歩ける土足用フローリングが必要です。しかし、一般的なスギのフローリングは表面がやわらかく、細いヒールの靴などには耐えられません。
そこで当社では、この問題を克服するために、スギの板を広葉樹の板でガードするという方式を採用しました。土足用フローリングの表面は、ナラ、カバ、ブナなどの硬い木でできています。ナラ、カバ、ブナを厚さ3mmの板にし、スギの板に接着しました。芯材にスギの板を用い、表面には硬い広葉樹を施したフローリングは、土足がOKな上に、スギの断熱性・衝撃吸収性も活かせる画期的な製品となりました。こうして当社の自慢の「グリーンボード」が誕生したのです。
楽器に使われる高い技術で実現した「グリーンボード」
スギは他の樹種に比べて、芯材と辺材の水分差が非常に大きく、乾燥が難しい樹です。さらに、ナラ、カバ、ブナは比重がスギの倍もあります。こういった異なる性質を持つ板を接着する場合、製品が反る危険性が高くなります。そこで、スギの乾燥に楽器材の乾燥方法を応用しました。当社のフローリング工場は、河合楽器製作所ピアノ工場に楽器材を供給している藤島木材工業株式会社の製材工場と隣接しています。
ここの乾燥工場でスギを乾燥することで、高い精度で均一に乾燥させたスギ板を確保でき、寸法の安定性が高い製品の製造が可能になりました。
当社がグリーンボードの出荷を開始したのは平成16年。まずは地元の秋田杉を使用したグリーンボードでした。徐々に各県産のスギを使ったグリーンボードを追加していき、平成22年からは、多摩地区の製材工場との協力によって、都内や首都圏へ向けた多摩スギのグリーンボードも出荷を開始しました。令和3年7月までに、延べ35物件、累計8,040㎡もの多摩スギグリーンボードが出荷されています。
これからも信頼される品質の「多摩スギグリーンボード」を製造していきます。ご期待下さい。