多摩産材事業者インタビュー
多摩の良い木で良い家具を
八王子現代家具工芸学校平成22年に設立した八王子現代家具工芸学校は、木製家具や木工品のデザインから製作までを学べる学校です。英国で本場の木製家具づくりを学んだ伊藤代表が「家具のまち八王子」を目指そうと、地元で家具・インテリア専門店を展開する株式会社村内ファニチャーアクセスの後援を受けて立ち上げました。なお、学校法人ではありません。
当校では、刃物の研ぎ方などの基礎から、鉋(かんな)や鑿(のみ)といった手道具の仕込みと使い方、本格的な大型木工機械を使っての家具づくりまで、幅広い内容を学ぶことができます。
自分の頭で考え、自分の手で作り上げる
当校には、10代から80代まで、プロを目指す人から趣味として楽しむ人まで、年代も目標も様々な人がいます。伝統的な技術と新しい加工方法の両方で、木目と形を活かしたものづくりを学んでいます。
木材には、針葉樹・広葉樹、国産木材・輸入材、板目・柾目・年輪・様々な杢、色味……と、たくさんの選択肢があります。その選択肢と自分の頭のなかの形(デザイン)を組み合わせ、手道具や小型・大型機械を使って製作します。見てもきれい、空間に置いてもきれい、使ってもきれいな家具を作っていくのです。
道具や設備を活用し、一般にも木を活かすための考えや技術を伝える
当校の近隣には森や山があります。林業や製材業もある多摩地域でできることとして、「木」での地産地消を目指し、多摩産材を使用した家具や木工品を製作しています。また、多摩産材の端材などを利用したワークショップなども実施しています。
木の良さと大切さ、ものづくりの楽しさや大変さなどを、ワークショップを通して体験して頂き、小さなお子様から大人まで、幅広い方に「木や木工の魅力」をお伝えしたいと思っています。
多摩産材のスギの魅力に着目した家具
一般的に間伐材のイメージが強く、家具材にはあまり向かない、「安くて節の多い木」と認識されているスギ。しかし、東京の山には節のないきれいな木目のスギの木もあり、特に無節の柾目のスギはとてもきれいな木材です。
当校では、なるべく無節の柾目の木を使用し、柾目を活かしたデザインで、形も木目もきれいな家具を製作しています。強度も十分に考えられ、スギの長所である軽くてぬくもりのある質感も加わり、オールスギ材でスギの良さが十分に出ている家具になっています。建物の空間内で、使われていないときにはオブジェのような存在感を示し、使うときには軽さと温かみが感じられます。
木を理解している作り手と、作り手の気持ちを理解してくれる製材所との、良い関係があるからこそ、良い木で良い家具を作ることができるのです。