多摩産材事業者インタビュー
飛騨の匠の伝統技術×新技術で国産木材、多摩産材の価値を高める
飛驒産業株式会社飛驒産業株式会社の創業は大正9年。当時、飛騨高山には手つかずのブナの原生林がありました。それまで薪や下駄の歯のような用途しかないとされていたブナですが、粘りがあって硬く、家具に適しています。ドイツ生まれの曲木技術でこのブナ材を家具として生まれ変わらせたのが、当社のスタートでした。
それから100年余り。当社の現代の事業は、林業や製材業、家具などの製造販売のみにとどまりません。「匠の心と技をもって飛騨を木工の聖地とする」志を掲げて、「人を想う」「技を磨く」「森と歩む」「時を継ぐ」の4つの価値観を大切に、様々なことに挑戦しつつ、創業101年目からの歩みを続けていきます。
飛騨家具の伝統を今につなぐ
飛騨地域の家具づくりの歴史は古く、『万葉集』の頃の文献にも「飛騨の匠」という言葉を見出せるほど。その地で伝統をつなぐ当社の101年前から変わらぬ主力商品は、椅子などに代表される天然の木材をメインに使用した「脚もの家具」です。
また、日本全国の針葉樹林の価値に着目し、国産木材の地産地消に取り組んでいます。当社の「きつつき森の研究所」が開発した独自の加熱圧縮加工技術により、従来は家具に向いていなかった針葉樹でも「脚もの家具」など様々な家具がつくれるようになりました。平成26年には、「飛騨の匠」の伝統の心と技術を次代に継承すべく「飛騨職人学舎」を開校。全国から集まった若者が2年間の共同生活を行いながら、家具づくりの技術と匠の心を磨いています。
多摩産材など地域の木材を活用した地産地消の家具
当社の加熱圧縮技術は、多摩産材をはじめとした国産木材の価値も高めました。従来、スギ、ヒノキなどの針葉樹は、木目の美しさやまっすぐに伸びるなどの美点を持つ半面、やわらかく家具には向きませんでした。しかし、この技術によって針葉樹の可能性、つくれるもののデザイン性が飛躍的に向上しました。当社のレギュラー商品「多摩産材の応接セット」も、この技術によって生まれた逸品です。
今後も多摩産材はもちろんのこと、全国各地の地域の木材を活用し、様々な家具をお届けしていきます。
木の全体を無駄なく活用
1本の木のうち、家具などに使われるのは木全体の30%程度に過ぎず、残りの枝葉などは山林に打ち捨てられてきました。当社の「きつつき森の研究所」では、こうした枝や葉まで無駄なく使うための研究にも取り組んでいます。その成果が、家具製作時の端材を用いたバイオマスボイラー、小物、アロマオイルなど。多摩産材のアロマオイルも開発できそうです。様々なやり方で「東京の木」「地元の木」を活かしていくことを目指しています。