多摩産材事業者インタビュー
木具師の伝統を今に伝える
株式会社木具定商店株式会社木具定商店は、江戸時代の天保年間(1830年頃)、木具師の定吉(初代)が、折箱や御神札(ごしんさつ)などの木製品の製造販売をするため、当時魚河岸のあった東京・日本橋、現在の三越の向かいに工場兼店舗を構えたのが始まりで、木具定の屋号もそれに由来します。
木箱、御神札、木具製品を営む店には「木具○○」という屋号が多くありましたが、現在では木具の名を守っているのは全国でも数件程度。当社はそのなかでも老舗です。
昔ながらの伝統を守る木具師の店
木を使って四角いものを作る職人が木具師です。主に折箱や三宝(月見団子などを盛る台)、御札、御札盆、御札箱などの木製品を作ります。残念なことに、このような木具師の技術を継承し、伝統的な製法を守っているところは今ではほとんどありません。しかし、当社では今でも木具師が昔ながらの手作りで、木を貼り合わせて合板にするところから、折箱や木具製品の製造をしています。
また木具定商店では、これらの技術と伝統でお客様のご要望に速やかにお応えしています。高い伝統の技が、ご満足頂ける製品づくりの礎となっているのです。
明治2年、当社は浅草雷門並木通りに移転し、以来「並木の木具定」として親しまれています。昭和24年には、浅草柴崎町(現西浅草)に工場を、平成元年には雷門本社ビルを建設しました。
環境と木へのこだわり
当社は平成16年、「環境を考えると容器はやっぱり木材、使う時も捨てる時も!」をテーマに、エコプロダクツ2004に出展しました。また、平成18年より、「木と環境の関わり」の啓蒙と作る楽しさを体験することを目的としたECO経木モビール木工工作キットなど「木の国工房」シリーズの開発を始めました。
最近では、多摩産材のスギを使った「木のストロー」も開発・販売をしています。木の伐採は森林破壊だと誤解されることもありますが、木も人間と同様に寿命があります。年をとった木は、二酸化炭素を吸収し酸素をつくる力が衰えます。ですから、一定の年齢に達した木は切って有効に活用し、そこに生命力のある若木を植えて育てることが重要なのです。
当社では、木の温もり・やさしさ・素朴さ・香り・安らぎなどを活かした製品を作り、そのことで日本人が育んできた“ 木の文化” や自然環境を守っていくことが大切であると考えています。
環境負荷が少ない良いものが選ばれ、良いものを選ぶ時代にあって、木材は自然が生んだ持続的利用ができる安全で最高の材料です。当社の製品を通して、この心をお伝えすることができましたら幸いです。