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多摩産材事業者インタビュー

じっくり話を聞いてベストを提案結び、つないで「わくわく」を実現

一般社団法人kitokito

kitokito は人脈の広さと積み重ねた経験と知恵、フットワークの軽やかさ、丁寧な対応が強み。

「様々な企業の技術や特徴を比較して、よりお客様の希望、条件に見合った木材、製材所、製作所と連携して、製品を作り出しています。結ぶ、つなぐ、そして形にするという木のコンシェルジュの役目を果たしたい」と代表の野口省子さんは話します。

同社は2017(平成29)年、野口さんと香川武生さんとで立ち上げました。代表の野口さんは東京都森林組合(現)に20年間勤務し、木材の利用、加工などを担当してきました。

「木のことをどこに相談したらよいのか分からないという声を耳にし、お客様の話をゆっくりと聞く窓口的な場所があればいい、お客様の思いや希望を聞きながら、一緒に思いをカタチにしていけたらと考え、起業しました」と野口さん。

これまでの経験を活かし、行政や企業とやわらかくタッグを組み、仕事を進めていきます。木材業界では、女性はまだまだレアな存在。女性目線での提案やアドバイスも喜ばれているそうです。

木と人と杜(森林)と生きる

「 kitokito」という社名には、木と木という意味と同時に、木、人(と)生(き)杜(と)、木と森と人が共に楽しく生きていこうという思いを込めました。

同社のコンセプトは「みんなのわくわくのために」。

「お客様が欲しいものを提供するだけではなく、林業家、製材所、製作所、そして動物や植物、地球まで、みんなが喜んでくれる状況をつくりたい。みんなでわくわく出来たら、嬉しいですね」

同社の提供する商品は、顧客の希望する木製品のすべて。メーカーではないことを強みとし、要望に見合うベストな木材と製品を届けていきます。

野口さんが東京都西多摩郡檜原(ひのはら)村に居を構えて19年。2020(令和2)年にはコロナ禍により檜原村の人気が高まり、都会から自然を求めてたくさんの人が押し寄せる光景を目の当たりにしました。東京にも森林や渓谷などの自然があることに気づき、森や木に関心を持つ人が増えてきたことに期待を寄せます。

国産木材から多摩産材へ

「これまでは木でなかった部分に、木を使ってもらいたいという思いがベースにあります。まずは木質化を目指し、出来れば国産木材を使ってもらいたい。そして地産地消を考えると、東京では多摩産材を使って欲しいと思います。全国にスギやヒノキが植えられており、多摩産材は特に他県のものと違いはありません。

ではなぜ東京では多摩産材がいいのかと聞かれれば、多摩産材を使うことが東京の森の整備につながり、東京の森が良くなれば、水や空気、環境が良くなることに意味があると思います。そうお客様に伝えると納得して下さる方が多いですね」

時代の流れが変わってきていると野口さんは感じているそうです。安ければいいという時代が長く続きましたが、こだわりを持つ層が増えてきたといいます。そんな中で木の良さに気づき、多摩産材を希望する顧客も多くなってきました。同社ではこれまでに駅舎の掲示板、外置きのベンチ、壁面、サイン、バリケード、ウッドデッキなどに多摩産材を使用してきました。

野口さんたちは木育にも力を注いでいます。

「保育園や幼稚園に遊具や什器(じゅうき)などを納入する場合も、ものを売るだけではなく、森のこと、木材のこと、木を使う意味なども一緒に伝えていきたいと考えています。園の仕事に携わる時は、保育士さんたちに木の話をします。近所の公園で園児たちがドングリを拾うこと、それも木育につながるとお伝えしています」

木のコンシェルジュとしてもっとたくさんの引き出しを用意したいと考え、園児たちが遊びに来る森や山、間伐体験などの場を今後は提供していきたいといいます。

「タッグを組む企業の技術や製品の中から、お客様にとってベストだと思うものを提案し、お客様の欲しい形にして納入出来るよう努めたい。お客様に納得して頂くまで、妥協はしません。木に関することでしたらどんなことでもご相談下さい。ゆっくりお話を伺い、細やかに対応していきます。関わったすべての方々が良かったと思える仕事を目指しています」

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    代表の野口省子さん
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    東屋
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