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多摩産材事業者インタビュー

多摩産材を育む檜原村の森豊かな自然に魅せられて始めた木工房

木工房 森のささやき

檜原村の名勝、払沢(ほっさわ)の滝に向かう遊歩道の途中に、檜原村郵便局舎だった建物を移築した「木工房 森のささやき」がたたずんでいます。ここを営む以前は大手自動車メーカーに勤めていました。転機が訪れたのは昭和54年。転勤先の羽村工場で知り合った同僚の縁で檜原村を訪れた際、豊かな自然の恵みに心ひかれ、「ここで生活したい!」と檜原村に拠点をもち、週末を過ごすようになりました。やがて少年サッカーチームのコーチをするなど、檜原村の人々との縁が深まり、「第2の人生は檜原の木を使ってものづくりをしたい」と考えるようになります。そして平成5年、会社の「セカンドライフ休暇制度」を利用して長野県の専門学校で木工技術を学び、平成7年4月に退職してこの店を始めました。

多摩産材にこだわった手作りの木工品が人気

当工房で扱う木製品は、檜原村産のスギやヒノキを利用して作ったいずれも1点ものの品々。ハガキや一輪挿し、カトラリーなどが、払沢の滝を訪れる観光客に人気です。

また、檜原村が新生児誕生時のお祝い品として村民に贈るフォトフレームの製作も請け負っています。近い将来、レーザーカッターを入手して、オリジナルのカッティング彫刻で、より多摩産材の付加価値を高められるような作品づくりを目指しています。

多くの人に、まずは多摩産材に触れてもらい、そして多摩産材の良さを知ってもらいたいですね。閑散期となる早春には、木工品のアイデアを探しに北欧やドイツを訪れることもあります。

そんななかで感じるのは、学校などでももっと木を使って、木の良さを子どもたちに伝えていかなければならないということ。それから、若い人には外に出ていろいろなものを見てきてもらいたいということです。日本国内の他の地域でも、外国でも。

そうして見聞を広めることで、改めて自分のすぐそばにある多摩産材の良さにも気づけるのではないでしょうか。

多摩産材の良さを広め、檜原村を盛り上げていきたい

工房運営のほか、これからの多摩産材を支えていく若い人々とも積極的に交流し、檜原村の地域振興に尽力しています。多摩産材を活用して広めていくために、林業の研究グループとの交流、多摩産材の樹種を増やす(広葉樹を植えていく)運動、子どもたちに木に触れさせる機会をつくるなど、若い人たちとも一緒になっていろいろなことに取り組んでいます。

そのうち「木のことなら檜原村に行ってみよう!」とみんなが思うようになるといいですね。ここにいると、緑の音、川のせせらぎ、風の音が聞こえてきます。それらは都会で暮らしていると感じることのできない音や風や光です。それが「森のささやき」の店名の由来。かけがえのないこの森から、木の良さや地域の魅力などを発信していきたいと考えています。

  • オーナーの中島 保さん:イメージ
    オーナーの中島 保さん
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