多摩産材事業者インタビュー
東京の森を守り、木に第二の人生を与え、多摩産材を広めることに人生をかける
有限会社沖倉製材所昭和25年の創業以来、製材一筋70余年の歴史を持つ有限会社沖倉製材所。東京の木 多摩産材を世に出すために、本業の製材業のほか、秋川木材協同組合やTOKYOWOOD普及協会の活動など、様々な取り組みを行っております。また当社は、「東京の木 多摩産材認証協議会」の監事製材所となっています。
当社では、「東京で使う木は、東京で育った木が一番」との強い想いから、多摩産材にこだわり、無垢材をはじめとした、様々な木製品の販売を行っています。また、多摩産材を活用した「東京十二木(とうきょうじゅうにぼく)」ブランドも立ち上げました。
多摩産材の天然木を活用した東京十二木
当社が令和元年から立ち上げた新ブランド「東京十二木」は、多摩産材を使うことで木材の地産地消を推進し、東京の山と森を守り、多摩産材の裾野を広げようという取り組みです。
多摩産材の中心はスギとヒノキですが、実はそのほかにもいくつもの希少な多摩産材があります。これらから12の樹種を選び、1月は「桧(ひのき)」、2月は「桐(きり)」、3月は「杉(すぎ)」、4月は「山桜(やまざくら)」、5月は「榧(かや)」、6月は「欅(けやき)」、7月は「朴(ほお)」、8月は「楠(くすのき)」、9月は「栃(とち)」、10月は「銀杏(いちょう)」、11月は「栗くり」、12月は「樅(もみ)」というように、東京で生まれ育った木々を各月にあてはめて「誕生木」を制定(登録商標)。「箸から家まで」というコンセプトで販売を始めました。
「東京十二木」は、読み方を変えると「東京じゅうに木」、つまり東京中に木を広めよう! になります。また、別の読み方をすれば、「東京じゆうに木」、東京を自由に木に変えよう! にもなるのです。2月の桐なら壁材や手すり、まな板や机などに、12月の樅ならドアや窓枠、テーブルなどに……という具合に、12の樹種それぞれに適した利用法がありますが、夫婦の思い出の風景にある木を座卓にしたり、お子様の誕生木で机やベッドを作ったり、というような使い方を提案しています。
高い技術力をかわれた特殊な依頼も多い
多摩産材に関わる様々な事業に柔軟に取り組んでいる当社には、その技術を見込まれての一風変わった依頼が舞い込むこともたびたびあります。
当社は通常の製材以外に、持ち込みの丸太の製材も受けているので、特殊な話も持ち込まれてくるのです。
これまでに当社が請けてきた特殊な仕事としては、大学が演習林で間伐した6トントラックで70台分もの木材を製材する仕事や、非常に硬いミャンマー・チークの製材、大手建設会社が新築するマンションの全戸350世帯分のまな板を伐採した森の木から作る仕事などがあります。
高い製材技術や専門知識のみならず、「多摩の木を一本でも多く世に送り出したい」という当社の心意気にほれ込んでの依頼も多いのではないでしょうか。