多摩産材事業者インタビュー
人は環境に、どれだけやさしくなれるのか
株式会社小林三之助商店株式会社小林三之助商店は、明治41年、鉄道用の枕木を取り扱う商社として創業しました。以来、森、そして木とともに100年以上の歴史を重ね、循環型社会の実現を目指してきました。森林造営から原木伐採、木材加工、販売、リサイクルまでの一貫したシステムを誇る、森林と木材に関する総合メーカーです。
当社は、当時の鉄道省(現在の国土交通省)の指定業者として、長年国鉄へ枕木を納入してきた国内最大の枕木メーカーとしての実績を柱に、広葉樹の原木から枕木を製材し、残った木を物流のパレット材にしたり、質の良いものを丸太として自社の木材市で販売したりしています。また、家屋を解体した際に出る木質廃棄物をリサイクルし、製紙用のチップやバイオマス燃料として利用するなど、資源の有効活用にも取り組んでいます。
多摩産材、国産木材の活用
当社では、国内外から様々な樹種を収集し、時代の要請に応じた木材の確保と製造を行ってきました。
昨今の日本の森は、戦後に植林された木が使用適齢期を迎えているのにも関わらず、伐採コストの高騰や林業の人手不足などから出材が少なくなっています。貴重な資源である日本の森は、有効活用できていない状態にあるのです。
そこで、森という先人たちからの贈り物について、日本人として改めて考えるきっかけになればとの想いもあり、当社では、感染症対策のための手指消毒用に、足踏み式消毒液スタンドを製作しました。感染対策と同時に、実際に触れて頂くことで、木の温もりや癒しを感じ取れるような機会を提供していきたいと思います。当社の拠点がある多摩産材スギ、岐阜県産ヒノキ、岩手県産クリのものをご用意いたしました。
クリ材のスペシャリストとして環境にも貢献
日本で最も水に強い樹種として、昔から土台や枕木などに使われているクリ材は、当社が最も得意とする樹種です。当社のクリ材は、国鉄時代から防腐材を注入しない素材のままで枕木に利用されてきました。また、当社はクリ材のフローリングなども生産しています。
クリにはタンニンという成分が含まれており、鉄などと反応して黒くなるといった面白い特徴があります。青森県の三内丸山遺跡には、約4200年前の縄文時代のクリの木柱が残っているほどです。こんなロマンと可能性を秘めたクリ材について、今後もスペシャリストを目指すべく、日々精進してまいります。
SDGsという言葉が当たり前に聞かれるようになった現在、森林の資源を活用することは、環境への貢献につながります。
森林を守ることは災害の防止や水源の涵養、大気の浄化にも役立ちます。木の潤いを人々の生活にお届けするという重要な役割を、今後も果たしていきます。