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多摩産材事業者インタビュー

木と暮らす、豊かな社会を目指して

帝国器材株式会社

帝国器材株式会社は、昭和12年に創業しました。戦時中に製造していたのは弾薬を運ぶ木箱です。当時のモットーは、「頑丈で壊れない箱をつくる」でした。これが学校用の家具づくりにつながっていきます。戦後、当社は人口増加とともに進んだ学校の整備の波に乗り、学校用家具メーカーとして時代の変化に合わせた家具を製造していました。現在では、その事業範囲を広げ、学校を含む公共施設で使われる家具や建具、そして壁や天井の仕上げまでを幅広く手掛けています。

乾燥技術の研究から始めた、国産木材への挑戦

平成5年、地球環境に配慮した製品づくりを目指した当社は、日本の針葉樹で家具をつくろうと、木材乾燥技術の研究に着手しました。今でこそ国産針葉樹でつくられた家具も多く見かけますが、当時は取り組んでいるメーカーも少なく、参考にできる情報や技術も極めて少ない状況でした。

家具用材としての乾燥は、柱などの建築用材よりもしっかり乾燥させる必要があると同時に、美しい仕上がりが求められます。木材乾燥の専門家に協力を仰ぎ、試作検証を重ねて徐々にノウハウを構築していきました。時代が令和となった今でも、木材乾燥を自社で行うことができる家具メーカーは少なく、工程管理や木材調達の面で、当社の大きな強みとなっています。

手間をかけることで木を無駄なく使う

スギ、ヒノキ、マツなどの国産木材活用に取り組み始めた当初は、職人からもクライアントからも敬遠されました。当時は、節がなく見た目にもムラが少ない木材を使うことが一般的だったのです。それに対し、国産木材は節が多く、木目や色味にも統一感がない印象でした。もちろん国産木材でも、厳選すれば均一なものは見つけられます。しかし、当時も今も、活用することを求められるのは小径木や節の多い木材です。

当社は、せっかく森から伐ってきた木を無駄なく使い、付加価値の高い内装分野で活用できるように市場を広げることが大切だと考えました。そして、手間はかかりますが、節の一つ一つにパテ処理や埋木処理を施し、試行錯誤を繰り返し、ようやく問題なく使って頂ける品質のものがつくれるようになりました。

美しい東京の風景を、未来に届ける

東京都足立区に工場を構えるメーカーとして、創業当時から、国産木材のなかでも特に東京の木 多摩産材を多く使用しています。

多摩地域には、本来なら伐採して活用できるほど生長している木がたくさんあり、まだ手入れがされていない森林も多くあります。木を使うということは環境破壊ではなく、森林に手を入れる契機をつくり、環境を守るために大切なこと。地元の木である多摩産材を活用し、美しい東京の風景を未来に届けたいと思っています。

  • 取締役副社長の大原 仁さん:イメージ
    取締役副社長の大原 仁さん
  • 抜け節の埋木処理:イメージ
    抜け節の埋木処理
  • 福島県にある木材乾燥炉:イメージ
    福島県にある木材乾燥炉
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