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多摩産材事業者インタビュー

長年に渡り培ってきた知識と経験木材のプロという天龍プライド

天龍木材株式会社

静岡県浜松市に本社を持つ天龍木材株式会社は1907(明治40)年に創業。天竜川沿いの地域で木材を伐り出し、出荷、販売をしていたのが原点になります。

当時、天竜川は暴れ天竜と呼ばれ、たびたび氾濫し、被害を出していました。初代は山を整備し、天竜川の治水にも尽力しました。

同社は地域に社有林を保有し、山林課が山林の保全を担っています。

明治時代入社の曾祖父、大正時代の祖父、昭和の父、そして四代目の山林課長を務める山道正一さんの一族は長い年月に渡り、社有林の手入れを行ってきました。

「良い木材は一朝一夕で育つものではありません。自分の代では日の目を見ることはなくても、木々の成長を楽しみ、将来の希望を持って代々取り組んできました。木材を売る側、買う側、使う側の三方がお互いに幸せである『三方よし』の考えのもと、山林を大切に守っていきたいですね」と山道さんは話します。

天龍木材の社有林には一本一本、丸天の一文字が記されています。この丸天マークは明治時代からの名残です。

明治から昭和にかけて、天竜川沿いで伐り出された木材の運搬方法は、川の流れを利用した「川狩り」と、木馬を造り陸路を人力で運搬する方法の2つがありました。木馬とはそりのようなもので、2mから3mほどの大きさでした。1m幅の木馬道を造り、木馬に木材を乗せ、押して運んでいったといい、かなりの重労働でした。

川下や集積場に集められた大量の木材の中から自社材と他社のものを区別するために丸天の印が大切でした。その流れをくみ、現在も社有林の幹には丸天のマークが印されているのです。

独自の知識とノウハウを活かして

木材一筋に歩んできた同社のポリシーは、広く木の文化の創造に寄与し、ハートフルな企業活動を進めること。外国産の丸太、製品製材の輸入販売を行う木材事業部、木造建築物のプレカット加工を行うプレカット部、木質建材の製造、販売を行う建材事業部の三部門に分かれ、事業展開をしています。

明治時代、地域の木材を取り扱うことから事業をスタートした同社ですが、やがてコスト的に安価な外国産木材を扱うようになりました。現在も外国からの輸入材の売り上げが多くを占めますが、近年は国産木材が欲しいという流れが起きているといいます。

「木というのは施工された後も1~2年は呼吸をしているので、寸法の伸び縮みがあります。ですが、地域の木材を使うと、気候に合っているため反りなどの不具合が少ないのです。地域の木材の需要が少しずつ高まっているのを感じます」と話すのは、同社建材事業部営業部東京支店主任の中山功貴さん。

中山さんは浜松市の出身で天竜川に沿う山村で育ち、子どもの頃から森林や木材の仕事に就きたいと考えていたといいます。「多摩産材利用拡大フェア」の担当でもある中山さんは、この数年で多摩産材を使いたいという声が増えてきていることを実感するそうです。

「近代化の流れの中で、都市には鉄骨やコンクリートの建物が増えましたが、人が集まる東京のような街こそ、木材のぬくもりが必要ではないかと思います。地産地消の考えからいくと、東京では多摩産材を使うことで、よりよい環境をつくれるのではないかと思います」

多摩産材の魅力に高付加価値と差別化を

「多摩産のスギは年輪密度が高く、多摩産のヒノキは色つやがいいんです。防腐処理や圧縮などの特殊技術を使うことにより、外材の堅さや強さに匹敵する品質を保つことが出来ます」と中山さん。

外装材として使われる「スギ羽目板」は多摩産もあり、住宅の外壁などに使用されています。

同社では静岡産のお茶を用いた緑茶抗菌「グリーンコート」を独自に開発し、地域産材を使用した公共用フローリングにも対応しています。緑茶に含まれるカテキンの抗菌作用を活かし、化学物質に頼らない、人と自然に優しいコーティングを塗装に使っています。

「地域産材の要望が高まっているので、すぐに対応出来るように努めています。木材の調達から、床については施工まで対応可能ですのでお任せ下さい。これまで天龍木材として積み上げてきた木材のプロとしての知識や経験を活かし、誇りを持って、様々な需要に応えていきたいと考えています。木材で困ったときには、是非お声がけ下さい。解決策や、様々なアイデアをご提供致します」と、中山さんよりメッセージを頂きました。

  • 天竜工場:イメージ
    天竜工場
  • 貯木場丸太:イメージ
    貯木場丸太
  • 社有林:イメージ
    社有林
  • 代表取締役社長の溝口正行さん:イメージ
    代表取締役社長の溝口正行さん
  • プレカット加工製品:イメージ
    プレカット加工製品
  • 公共用フローリング:イメージ
    公共用フローリング
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