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多摩産材事業者インタビュー

お客様の課題を「木」で解決し、東京の森に貢献したい

株式会社Tree to Green

「森の側から始めることも出来ましたが、東京で会社を立ち上げたのは需要の側からスタートしようと考えたからです」と語る小瀬木隆典さん。平均年齢30歳代というフレッシュな会社で、取締役を務めています。

株式会社Tree to Greenは、小瀬木さんと代表取締役の青野裕介さんとで立ち上げました。二人の経歴はそれぞれ個性的です。

小瀬木さんの実家は木曽で祖父の代から続く木工所を営んでいます。

「若い時は木に関することをやろうなどと考えたこともなかった」と笑う小瀬木さん。大学進学で上京し、その後IT 関連の仕事に就きました。

「IT はカタチのないワークです。次第にしっかりした手触りの、形のある仕事がやりたくなってきて、そんな時に思い出したのが実家の稼業でした。自分自身、木の良さを再確認したいと思いました」

一方の青野さんは、いつか起業したいと考え、まずは銀行に就職し、その後、経営コンサルティングの仕事に就きました。コンサルティングのテーマで、日本における木材自給率の低さや世界の森林問題について知ることになり、それをきっかけに、森林課題の解決を生涯のテーマとして起業することを決意し、小瀬木さんと共に立ち上げたのが株式会社Tree to Greenです。

同社は経営、空間デザイン、家具製作、建築、ITなど様々な分野のプロフェッショナルがゆるやかに集い、森林をキーワードにひとつのビジョンをたき火のように囲むユニークな会社です。

「子どもを中心に。地域が家族。」をビジョンに据えて

様々な業態の空間に、木や緑を取り入れ、楽しさと心地よさを感じてもらえるようにしています。そして、木の「ものづくり」を通じて、木や森林への親しみが深まることを目指して活動しています。

特に、子どもを中心におき、地域の輪が広がることに期待を込めて、保育園や幼稚園と共に、「木育」を広げる活動に力を入れています。

園の方針や地域の特徴を踏まえ、一緒に木育の計画を立てます。丸太の皮をはぐ、のこぎりを使って木材を切る、くぎを打つ、紙やすりで木を削り、自分の使う箸を作るなどの体験を通して、木の魅力や木の文化を子どもたちに伝えていきます。

「木のにおいをかぐ、触って木の肌を感じるなど、子どもたちは五感を発揮して、木を知っていきます。自分の箸を作るのは根気のいる作業ですが、大変な分、愛着もわく。箸を大切に使い、箸使いも上手になったと聞くと嬉しいですね」

檜原村の森まで園児たちを連れて行き、林業の方々のサポートを受けながら伐採を見学するなど、山や公園をフィールドとした体験も行っています。

活動には、出来る限り、保護者や地域の方も参加出来る形を考え、楽しいことは大前提ですが、楽しいイベントだけで終わらず、森林を考えるきっかけとなり、子どもの成長の一助となることを願っています。

多摩産材を使うわけ

環境に見合った木を使うことが理にかなっていると考える同社は、出来る限り、地域の木を使うことを目指しています。

「東京で木を使う場合は、出来るだけ東京の木を使って欲しいと考えています。

多摩産材の魅力は東京産だということ。東京の木を使うことで、東京の森のことを考えるきっかけになってくれたらいいですね」

園庭に置く遊具やデッキ、フェンス、パーゴラ、ツリーハウスなどを、木育の活動と絡めながら、オリジナルのデザインを行い、多摩産材のヒノキやスギも使って、特注で製作をしています。

身の回りでも木質化が進み、木のものが増えてきたように感じるという小瀬木さん。

「SDGsやESGなど、環境に向かう取り組みの必要性が高まってきました。そして、森林はそこに欠かせないテーマとなります。環境的、機能的、デザイン的にも、木材は最高の素材です」と話します。

東京で立ち上げた会社ですが、もっと森に近づきたいと考え、木曽に工房を立ち上げる計画もしています。実際に木曽の森林を見てもらい、生きている木々に触れ、木の魅力をより身近に感じてもらう手伝いをしていきたいという展望を持っています。

「これからは、さらに『その地域らしさ』を意識して、木の価値を、ものづくりを通じて、楽しく伝えていきたいと思います。それにより、地域が家族になるような社会を目指していきたいと思います」

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    取締役の小瀬木隆典さん
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